シミュレーション作成実習3

左画面から、以下に紹介している「進行波の作成実習マニュアル」のA4版PDFファイルをダウンロードできます。

 ご利用下さい。


3.等速円運動と位相ずれのシュミレーション作成

 

 等速円運動する物体を描く

 ある物体がX軸上x=Rの位置から角速度ω(速度υ=Rω)で、χy軸の原点を中心とする半径Rの円上を等速円運動する様子を描いてみましょう。ここでのωの単位は[rad/s]です。(180°=π rad)

 

 時刻tにおける物体のX軸とのなす角度θ=ωt[rad]となり、

  X=R*Cosθ=R*Cosωt・・・(1)

  y=R*Sinθ=R*Sinωt ・・・(2)

 と表されます。これを散布グラフとTimerを使ってtの変化とともに動く点として表現します。(右図参照)

作業手順1 スピンボタンで「Timer」を作る。(手順は実習2と同じ) 

 右図のように、A1には「カウンター」、B1には「⊿t」、C1にはtと記しておきます。(書いてなくとも動きには関係ないが。

 後でこれから作るスピンボタンとA2をリンクするのでA2にカウント数が表示されるようになります。

 B2には1カウントごとの時間間隔⊿tの数値を書き入れます。(とりあえず0.01とします。)

 C2には「=A2*B2」という計算式を記述しておきます。

 「⊿tの値を大きくすると速く、小さくすると遅くうごきます。」

 スピンボタンの上で右クリックし、「プロパティー」をクリックし一覧を表示し、LincdeCell には A2Max には 10000 位(大きければ良い)を記述する。

 

 次に今の状態が「デザインモード」状態なのでこのままではスピンボタンが動かないので、これを解除する。解除は、[開発]タブで表示される画面(右下図)の「デザインモード」をクリックしON/Offを行う。

 

 

 これで、スピンボタンを使ったTimerが出来上がりました。スピンボタンを押してみてください。

 

「Reset」ボタンが有ると便利ですが、ココでは省略します。リセットする時は、A2に0を入れてください。

 右図のように、[開発]タブから「挿入」→「AxtiveXコントロール」→「スピンボタン」をクリックしA3セル付近にドラックし右図のようなスピンボタンを貼り付けます。

 

  [開発] タブが表示されていない場合は、

[ファイル] タブから、[オプション] の[リボンのユーザー設定]画面を表示させて、 [メイン タブ] の下の [開発] チェック ボックスをオンにします。

作業手順2 角速度ω、半径R、物体1の座標(X1、y1)を表示するセルを作成。 

 右図にならって、A5、A6,B6,C6,D6に文字を書き込み、

 A7のR1の値にはとりあえずと、

 B7のω1の値には π/100 の式「=PI()/100( 100カウントt=1で半周となるように)と、

 C7のX1には(1)式X1=R*Cosωtすなわち、「A7*COS(B7*C2)と、

 D7のY1には(2)式Y1=R*Sinωtすなわち、

A7*Sin(B7*C2)記述する。 これで時刻 t のスピンボタンでX、Yの値が変化するようになる。

 

作業手順3 xy座標を、散布グラフで表示します。

 空白セルを選択していることを確認して、

 まず、①挿入タブ→ ②散布図→ ③散布図(マークのみ)をクリックし真っ白な散布グラフを表示する。

 

次に、グラフ上で右クリックして出てくるサブメニューから、「データの選択(E)」をクリックする。

 表示される(データソースの選択)ダイアログ(右図)で「追加」ボタンをクリックする。 

 

  クリックしてで出てきた(系列の編集)ダイアログの系列名(N)では「物体1」と書いてあるA5をクリックし、系列Xの値欄ではX値の入っているC7を、yの値欄ではy値の入っているD7をクリック指定し、OKボタンを押すと、「系列物体1」として設定されグラフの(5,0)の点にの点が表示される。

作業手順4 見やすいグラフになるよう、縦横軸の値を固定する。

 最後に、まずグラフが選択されていることを確認し、

 

①  [書式]タブ→左端の選択エリアリストから②「横(値)軸」を指定→③「選択対象の書式設定」→④  最小値=ー8、最大値8と固定値にする。

 

 同様にして横(値)軸」の最小値=-8、最大値=8と固定値にする。

 これらの数値は自動のままだと随時変化していき運動している状態が正確に認識できないので固定値にする必要があり、グラフの表示範囲を表しているので、運運動の半径Rの値により自分の見やすい範囲であればよい。 

 

 

 

   ⇒


 これでTimerのスピンボタンをクリックすれば、の点が(5,0)から反時計回りに等速円運動始めるはずです・・・・。

 

 

 スピンボタンをクリックしてみて下さい。

 

 C7とD7の値は変化しているが ◆ の点はなかなか動きません。 どうしてでしょう?

 

 B1の⊿tの値を「1」にしてみて下さい。   どうですか?(ωの値を大きくしてもよい。)

 

  それでも変化が起こらないときは、「デザインモード」のままなのでこれを解除する必要があります。

 そんなときは、

1)[開発]タブクリックする。

2)「デザインモード」ON/OFFボタンを押して解除する。

 これで動くはずです。

作業手順5 物体1をにしてみよう。 

 グラフをクリックし選択されていることを確認後、作業手順3の時と同様に 

 

①  [書式]タブ→左端の選択エリアリストから②「系列物体1」を指定→③「選択対象の書式設定」で書式設定ダイアログを表示させ、下の図のように「マーカーのオプション」では印を選択し、サイズをに変更し、次に「マーカーの塗りつぶし」では単色を選び色見本から赤を選ぶ。

 これで、◇の物体1は赤いボールになる。

作業手順6 物体1より90°遅れて回る物体2を作ってみよう。 

 等速円運動をする物体がX軸正方向となす中心角 ωのことを「位相」と言います。

 物体2は物体1と同じ半径で同じ角速度で90°遅れて回るようにしましょう。

これから作る物体2は物体1より「位相」が90°=π/2 遅れていることになりますから、t=0では物体1が(5,0)で中心角がθ=0、これに対して物体2は(0、-5)でθ=-90°=ーπ/2ということになります。したがって物体2の位置座標は

  X2=R*Cosθ2=R*Cos(ωtーπ/2)・・・(3)

  y2=R*Sinθ2=R*Sin(ωtーπ/2) ・・・(4)

 という式になる。(このときのーπ/2は物体2の初期位相という。)

 

作業手順7 物体2の座標(X2、y2)を表示するセルを作成。 

 右図にならって、A5、A6,B6,C6,D6に文字を書き込み、

 A7のR1の値にはとりあえずと、

 B7のω1の値には π/100 の式「=PI()/100( 100カウントt=1で半周となるように)と、

 C10のX2にはX2=R*Cos(ωt-π/2)すなわち、「A7*COS(B7*C2PI()/2)と、

 D7のY2にはY2=R*Sin(ωt-π/2)すなわち、

A7*Sin(B7*C2PI()/2)記述する。 これで時刻 t のスピンボタンでX2、Y2の値が変化するようになる。

 

作業手順8 物体2をでグラフ上に表す。 

 以下、前出の 作業手順3、作業手順5でグラフ上に物体2をであらわす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作業手順9 物体1・2と中心を結ぶ動径と円軌道をグラフ上に表す。

 最初は動径を描きましょう。

 右図の様に、動径1用の原点の座標値0をC8、D8に、動径2用の原点座標値0をC11,D11に入力する。

 

 次に、動径1「(0,0)と(X1、Y1)間の直線」と

動径2「(0,0)と(X2、Y2)間の直線」をグラフ上に表示するため、グラフ上で右クリックして出てくるサブメニューから「データの選択(E)」をクリックし、「データーソースの選択」画面でこれら2つの動径を「追加」により以下のように系列設定します。

 「追加」で出てくる「系列の編集」ダイアログで、

 [系列名]は「動径1」と直接記述します。

 [系列のXの値]は上図のC7:C8を縦に選択します。

 [系列のYの値]は上図のD7:D8を縦に選択します。

 「OK」を押し、「データソースの選択」画面に戻ります。

 「追加」を押し、同様に動径2のデータソースも設定します。

 設定後、グラフ上でクリックしグラフをアクティブにし、「書式」タブから[系列動径1」および「系列動径2」を選択し、それぞれについて右図の要領で動径1,2の書式を設定します。

 右図は「動径1」書式設定の様子です。拡大して確認してください。同じ要領で「動径2」の書式も設定してください。

 

次は原点を中心とした半径5の円軌道を点線で描きましょう。

 A16~A106には0~90までの連続数を入れます。

 A13には「円軌道1」、B14には「⊿θ」、B15には「θ」、C15には「X」、D15には「Y」という文字を記述しておきます。

 原点を中心に360°を90分割した⊿θ=π/90 [rad] 毎に極座標表現を使い90の点を表現しそれを滑らかな線で結びます。

 その⊿θの値式をC14に記述します。

 90の点毎の角度θは⊿θ*(0~90)で表すので、B16には  14*A16  と記述し、これをB106までコピーします。

14はコピーしても変化しない「絶対セル」表示です。A16は変化します。「相対セル」表示

 C16には X=RCosθ の式 7*Cos(B16) と記述しC106までコピーします。

 D16には X=RCosθ の式 7*Sin(B16) と記述しD106までコピーします。

 

 グラフ上で右クリックして出てくるサブメニューから「データの選択(E)」をクリックし、「データーソースの選択」画面で「追加」を押し、右画面のように「系列の編集」で「円軌道1」のデータソースを設定します。

 右画面に見えるように90の点が円状にならびます。

 

 次は「デター系列の書式設定」を使いこれを点線に変えます。

グラフ上でクリックしグラフをアクティブにし、「書式」タブから[系列円軌道1」を選択し、それぞれについて右図の要領で書式を設定します。

 完成です。スピンボタンをクリックしてみてください。

追加課題

 

1.物体2の位相を45°遅らせてみてください。どこをどういじれば良いでしょうか?( ヒント:1か所)

2.物体2の半径を物体1の1.5倍の  7.5 にして物体1の円軌道1の外側の円軌道2を回らせるにはどうすればよいでしょうか?

  円軌道2を表示しなくてよい。     楽勝の人は、円軌道2も描いてみて下さい。

 

完成例 「 等速円運動と位相.xlsm 」 はダウンロードできます。

 

これをもとに作成した 黄道上の惑星の動き もダウンロードできます。